技術・人文知識・国際業務

1.在留資格該当性

(1)「技術」は、機械工学・情報工学・土木工学・農学・家政学等の自然科学の分野(理系)に属する技術又は知識を必要とする業務に主として従事する活動が該当します。
 「人文知識」は、教育学・法学・経営学・会計学等の人文科学の分野(文系)に属する技術又は知識を必要とする業務に主として従事する活動が該当します。
 「技術・人文知識」は、一定以上の学術上の素養及び大学卒業者が通常その分野で身に付ける技術や知識のレベルを要する業務である必要があります。「一定以上の学術上の素養を必要とする」については、大学にその学問が過程として設置されているかどうか、また、「大学卒業者が通常その分野で身に付ける技術や知識のレベル」については、資格試験を目安とする場合は「大学卒業者は通常〇級を取得する試験である」ということなどが考慮されます。
   したがって、単に経験を積んだことにより有している知識では足りず、学問的・体系的な知識を必要とします。なお、経験を積むことにより有する熟練した技能を必要とする業務は「技能」に該当します。
 「一定以上の水準以上の専門的知識を必要とする業務」該当性の判断は、大学にその学問が過程として設置されているかどうか、また、資格試験を目安とする場合は「大学卒業者は通常〇級を取得する試験である」ということなどが考慮されます。
(2)「国際業務」は、翻訳・通訳・語学の指導・広報・宣伝・海外取引業務・服飾若しくは室内装飾に係るデザイン・商品開発等で外国の文化に基礎を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事する活動が該当します。
 「国際業務」は、外国人特有の感性、すなわち、外国に特有な文化に根ざす一般の日本人が有しない思考方法や感受性を必要とするもので、かつ、外国の社会・歴史・伝統の中で培われた発想・感覚を基にした一定水準以上の専門的能力を必要とするものでなければいけません。

(3)採用当初に行われる実務研修について
 採用当初の実務研修期間中に、飲食店での接客・小売店の店頭における販売業務・工場のライン業務等の「技術・人文知識・国際業務」に該当しない業務に従事する場合、下記の条件で認められることとされています。
 ア 日本人の大卒社員等に対しても同様に行われるものであること日本人社員との差異が設けられている実務研修は、日本語研修を目的する場合のように合理的な理由がある場合のみ認められます。
 イ 雇用期間の大半を占めるものでないこと
  例えば、雇用契約期間が3年間のみで、契約更新も予定されていないような場合、採用から2年間実務研修を行うことは認められません。
 ウ 原則として在留期間は1年となる
  1年後に、実務研修から「技術・人文知識・国際業務」に移行することを確認する必要があるからです。
 エ 採用から1年を超える実務研修については、研修計画の提出が必要となる。
(4)「技術・人文知識・国際業務」に該当する活動であっても、同時に、「教授」「芸術」「宗教」「報道」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「企業内転勤」「介護」「興行」のいずれかの活動に該当する場合は、これらの在留資格が決定されることになります。
(5)就労先との契約の典型は雇用契約ですが、特定の機関との継続的な契約であれば、業務委託等も問題ありません。また、複数の特定の機関との契約でも問題ありません。
これに対して、特定の機関との継続的な契約によらない場合には、個人事業主として「経営・管理」に該当する可能性があります。

2.上陸許可基準

(1)日本人が従事する場合に受ける報酬と同額以上の報酬を受けること
(2)「技術・人文知識」に適用される基準
 ア 大学にて当該技術若しくは知識に関連する科目を専攻して卒業し、又はこれと同等以上の教育を受けたこと
 「大学」には、海外の大学及び短期大学が含まれます。また、「同等以上の教育」は、高等専門学校等が該当します。
 イ 日本の専修学校にて当該技術若しくは知識に関連する科目を専攻して専門課程を修了し、専門士又は高度専門士の称号を付与されたもの
  専門士の称号付与の要件は下記の通りです。
  ・修業年限が2年以上
  ・卒業に必要な総授業時間数が1,700単位時間以上
  ・試験等による成績評価に基づいて卒業認定を行っている
   従事する業務と専攻科目は一致していることまでは必要でなく、関連していればよく、その判断は実際に履修した科目等も確認して行われます。
   また、大学については、特定分野の専門的な知識だけでなく、幅広い知識を身につけることも目的としているので、専攻科目と従事する業務の関連性については、比較的緩やかに判断されることとされており、特段の事情が無い限り、関連性が認められることとなっています。
 ウ 10年以上の実務経験(大学・高等専門学校・高等学校・中等教育学校の後期課程又は専修学校の専門課程において当該技術又は知識に係る科目を専攻した期間を含む)を有すること
(3)「国際業務」に適用される基準
 従事する業務に関連する業務について3年以上の実務経験を有することが必要となります。ただし、大卒者が、母国語の通訳・翻訳又は語学の指導の業務に従事する場合は、実務経験は不要となります。
 大卒者等が、「国際業務」に関連する科目を専攻していた場合には、「技術・人文知識」として取り扱われることが可能となります。

3.特定活動46号(本邦大学卒業者)

 「技術・人文知識・国際業務」の在留資格では、サービス業務や製造業務が主たる活動となるものは認められません。しかし、日本の4年生大学又は大学院を修了し、日本語能力検定試験N1若しくはBJT480点以上有する外国人が、日本語を用いた円滑な意思疎通を必要とする業務(風俗営業活動及び業務独占資格業務を除く)に従事する場合は、サービス業務や製造業務が主たる活動であっても「特定活動46号」の在留資格で従事することが認められます。また、大学又は大学院(外国の大学又は大学院を含む)において日本語 を専攻していた日本の4年生大学又は大学院修了者も同様に扱われます。
 ただし、「特定活動46号」の場合、特定の機関の常勤職員として、当該機関の業務に従事する必要があるので、転職する場合は事前に在留資格変更申請をする必要があります。また、「留学」からの在留資格変更時及び初回の在留期間更新許可時に決定される在留期間は原則として1年となり、これらの点で「技術・人文知識・国際業務」より不利となります。
 大卒者の場合、「技術・人文知識・国際業務」における従事する業務と専攻科目との関連性については、比較的緩やかに判断されることとされており、特段の事情が無い限り関連性が認められることとなっているので、サービス業務や製造業務が主たる活動の場合を除いて、「特定活動」ではなく「技術・人文知識・国際業務」を検討することが得策と言えます。

「技術・人文知識・国際業務」の費用

サービス内容 基本報酬(税別) 備考(法定費用等)

在留資格変更、
認定証明書

9万円
(1※)

着手金4万円、成功報酬5万円
印紙代4千円(変更のみ)

在留期間更新

3万円

着手金のみ(※)
印紙代4千円

※ 雇用理由書又は追加書類の作成が必要な場合は、成功報酬1万5千円別途必要

 

法務省発表資料