外国人ビザ(在留資格)

1.総論(在留資格の種類)

 外国人が日本に滞在するためには、米軍関係者等を除き、何らかの在留資格を取得する必要があります。在留資格を取得するためには、日本で、法定の活動に従事するものと認められる必要があります(在留資格該当性)。在留資格には、在留資格が該当性だけで足りるものと、上陸許可基準に適合することも必要となるものもあります。
 なお、ビザ(査証)とは、日本に入国する前に、現地の日本大使館又は領事館で発行されるもので、当該外国人のパスポートの適法性を確認、及び、入国・在留の適法性を推薦するものです。ビザの存在を前提に入国審査を経て在留資格が付与され、合法的に日本に滞在することが可能となります。国籍によっては、ビザが無くても、入国時に「短期滞在」の在留資格が付与される場合があります。

外務省ウェブサイト

https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/index.html(査証免除国一覧「短期滞在」)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/tanki/novisa.html(就労や長期滞在を目的とするビザ)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/chouki/index.html(就労や長期滞在を目的とする場合)

在留資格の種類

(1) 就労可能な資格 (2) 就労不能な資格
(a) 職種の制限無し (b) 職種の制限有り
(在留資格該当性のみで足りる) (就労には資格外活動許可が必要)
(在留資格該当性以外も必要)

「特定活動」は、就労可能な活動が許可される場合があります。

 在留資格には、(1)就労可能な在留資格と(2)就労不可能な在留資格があります。
(1)就労可能な在留資格は、(a)職種が無制限なものと、(b)職種が制限されるものとに分かれます。(b)就労可能業務が制限されている在留資格には、在留資格該当だけでなく、学歴・実務経験等の一定の要件(上陸許可基準)が必要とされているものがあります。
(2)就労不可能な在留資格で働くためには、資格外活動許可を取得する必要があります。「留学」及び「家族滞在」の在留資格については、資格外活動許可を取得することにより、週28時間以内の勤務が可能となります(風俗業を除き業種は問わない)。
 入国管理局の判断は、「重要な事実に誤認があること等により・・事実の基礎を欠くか・・又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くことが明らかである」場合に限って違法となります(マクリーン事件の最高裁判決, 1978年10月4日)。

2.在留資格の取得方法

(1)在留資格認定証明書交付申請(入管法7条の2)
 外国人は、入国審査により、入国が許可され、在留資格が付与されることにより日本に滞在することが可能となります。そのためには、下記の条件を満たす必要があります(入管法7条1項)。
 ①旅券及び査証の有効性(1号)
 ②活動の非虚偽性、在留資格該当性及び上陸許可基準適合性(2号)
 ③在留期間適合性(3号)
 ④上陸拒否事由非該当性(4号)
 上記のうち②在留資格該当性及び上陸許可基準適合性の審査は、入国時に実質的な審査をすることは困難なので、原則として在留資格認定証明書を入国審査官に提出することによりその立証があったものとして扱われることになっています。また、在留資格認定証明書は、現地の日本大使館又は領事館(在外公館)での査証(ビザ)の立証資料としても取り扱われます。なお、在留資格認定証明書制度は、「短期滞在」「永住者」「定住者(非告示)」以外の在留資格で利用可能です。
在留資格認定証明書交付申請は入国管理局にて行います。在留資格認定証明書が入国管理局から交付されると、本国の申請人に郵送し、申請人は現地の大使館又は領事館でビザの交付を受け、入国時にビザと在留資格認定証明書を提示することになります。
在留資格認定証明書制度と類似するものとして、査証事前協議制度があります。査証事前協議制度は、在留資格認定証明書制度を利用せずにビザの発給をする場合、在外公館(外務省管轄)が行うビザ発給審査と出入国管理庁(法務省管轄)が行う上陸審査が相違することは好ましくないので、両者の調整を図るため、一定の外国人についてビザ発給の可否について法務省が外務省から協議を受け、この協議に対し上陸のための条件への適合性の有無を判断した上で外務省に回答する制度です。査証事前協議制度は、在留資格認定証明書の利用が難しい場合に限って利用されます。例えば、「日本人の配偶者等」の在留資格で日本に在留しようとする場合、日本在住の親族いないか、又は、親族の協力を得られないような場合に、査証事前協議制度が利用されることになります。

(2)在留資格取得許可申請(入管法22条の2)  在留資格の取得は、入国手続きを得ることなく、下記事由の発生により、日本に在留することになる外国人に対して、在留資格を付与する続きです。
 ①出生
 ②日米地位協定若しくは国連軍地位協定者の軍籍離脱者
 ③日本国籍の離脱(平和条約発効が原因)又は喪失(外国籍取得が原因)
  上記事由発生から60日間は適法に日本に在留することが可能ですが、60日を超えて在留する場合には、上記事由発生から30日以内に在留資格取得許可申請をする必要があります。
  在留が違法な場合は、在留資格取得許可申請ではなく、在留特別許可により在留資格を取得することになります。

(3)在留資格変更・在留期間更新申請
 ア 在留資格変更及び在留期間更新は、原則として、在留資格該当性及び上陸許可基準に適合していれば、法律上の要件である「相当の理由」があるものとして許可されます。
  ただし、上陸許可基準に適合していなくても、人道上その他特別な理由を考慮して「相当の理由」があるものとして在留資格変更又は在留期間更新が許可されることがあります。例えば、日本人と離婚した外国人の「定住者」への在留資格変更は、法務大臣が告示で定めていないにも関わらず許可される場合があります。また、日本人と婚姻した外国人の連れ子は、入国時には未成年でなければ法務大臣が告示で定める条件を満たさないので「定住者」で入国できませんが、在留期間更新時に成人に達していたとしも「相当の理由」があるものとして許可されます。
 イ 在留資格該当性及び上陸許可基準に適合していても、下記のような事情を考慮して「相当の理由」が無いものとして不許可となる場合があります。なお、社会保険への加入の促進を図るため,申請時に保険証の提示を求められることがありますが、保険証を提示できないことで在留資格の変更又は在留期間の更新を不許可となることはありません(令2年2月時点)。
 (ア)現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと
 (イ)素行が不良でないこと
 (ウ)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
 (エ)雇用・労働条件が適正であること
   労働関係法規違反により勧告等が行われたことが判明した場合は,通常, 申請人である外国人に責はないため,この点を十分に勘案して判断することとなります。
 (オ)納税義務を履行していること
    例えば,納税義 務の不履行により刑を受けている場合は,納税義務を履行していないと判断されます。 なお,刑を受けていなくても,高額の未納や長期間の未納などが判明した場合も, 悪質なものについては同様に取り扱います。
 (カ)入管法に定める届出等の義務を履行していること
 ウ 在留資格変更申請のタイミング
  在留資格変更申請は、現在の在留資格に該当しない活動行う前に行う必要があり、在留資格変更が許可され新しい在留カードをもらった後に、新たな活動に従事することが可能となります。
  例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で会社に勤務している外国人が起業する場合、「経営・管理」への在留資格変更が許可される前でも会社を設立して事務所の賃借や仕入れ等の起業準備を行うことはできますが、当該会社が売り上げを上げることも、当該外国人が役員報酬を受領することもできません。
  他方で、「経営・管理」への在留資格変更が許可されるまでは当該外国人は「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を有しているので、在職中に「経営・管理」への在留資格変更申請をすることができますし、許可されるまで会社で勤務することができます。
しかし、「経営・管理」への在留資格変更申請が許可され新しい在留カードを受領した時から会社で勤務することができなくなります。したがって、遅くとも、結果通知書が届き在留資格変更が許可されることが確実になった時点で、会社に退職通知をする必要があります。
  上記のように在職中に「経営・管理」へ在留資格変更申請をすることは可能ですが、許可の時点では退職している必要があるので、新しい在留カードを受領する際に離職票等の退職を証明する資料を持参するべきであり、その旨を申請書時に文書で説明しておくべきと言えます。
 エ 在留資格の取消し
  「永住者」も在留資格取り消しの対象となります。
 オ 退去強制
  「永住者」も退去強制の対象となります。

法務省発表資料

https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/nyuukokukanri07_00058.html(在留資格変更、在留期間更新)
https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/nyukan_nyukan66.html(変更・更新の不許可事例)
https://www.moj.go.jp/isa/content/930005156.pdf(国家戦略特別区域の変更・更新)