高度専門職

「高度専門職」は、「学歴」,「職歴」,「年収」などの項目ごとにポイントを設け,ポイントの合計が一定点数(70点)に達した場合に,下記の優遇措置を与えることにより,高度外国人材の我が国への受入れ促進を図ることを目的としています。
(1) 複合的な在留活動の許容
 「高度専門職1号イ」及び「高度専門職2号」の場合が該当します。
 「高度専門職2号」は、「高度専門職1号」の在留資格をもって一定期間在留した者を対象とし、活動制限を大幅に緩和しています。
(2)在留期間の優遇
 「高度専門職1号」の場合は5年、「高度専門職2号」の場合は無制限の在留期間となります。
(3)在留歴に係る永住許可要件の緩和
 70ポイントの場合は3年以上、80ポイントの場合は1年以上日本に滞在していれば永住許可申請が可能となります。
(4)配偶者の就労
 高度専門職の配偶者の場合は,学歴・職歴などの要件を満たさない場合でも「特定活動」の在留資格が付与され、「研究」,「教育」,「技術・人文知識・国際業務」,「興行(宣伝活動等を除く)」などに該当する活動を行うことが可能となります。


(5)一定の条件の下での親の帯同
 世帯年収800万円以上等が条件となります。
(6) 一定の条件の下での家事使用人の帯同
 世帯年収が1千万円以上、家事使用人の給料が20万円以上等が条件となります。
(7)入国・在留手続の優先処理
 申請受理から10日以内を目途に許可されることになっています。

1.在留資格該当性

 「高度専門職」の活動は、上陸基準省令1号により、就労系の在留資格のいずれかに該当することが要件とされているので、これらの在留資格に相当する活動と必ず重複することになります。
(1)高度専門職1号イ
 法律上は、「教授」と同様、研究,研究の指導又は教育をする活動が規定されています。ただし、「教授」と異なり、活動機関が大学等に限定されていないので、「教育」「研究」の活動とも重複することになります。
 在留資格決定時に活動機関が指定されますが、付随して、指定機関以外又は自ら事業を運営して同様の活動をすることが認められています。
(2)高度専門職1号ロ
 自然科学又は人文科学の分野に属する知識又は技術を要する業務、すなわち「技術・人文知識」の業務に従事する活動が該当します。その他、「技術・人文知識」の活動に包含されうる「法律・会計業務」「医療」「介護」「興行」等の活動とも重複しうるものとされています。
 しかし、多くの外国人が従事する「国際業務」は含まれないので注意が必要です。これは、「国際業務」は外国の文化に基礎を有する思考若しくは感受性を必要とする業務であり、思考や感受性のレベルの高低をポイントで測ることは困難であるためとされています。
 高度専門職イの場合と異なり、在留資格決定時に指定された活動機関以外で活動することはできません。これは「技術・人文知識」に該当する業務は広範にわたるため、契約機関以外の機関との契約に基づく活動まで認めると、事実上活動範囲が限定されないことになるためとされています。
(3)高度専門職1号ハ
 「経営・管理」と同様の活動が該当します。その他、「経営・管理」と重複しうる「法律・会計業務」及び「興行」の在留資格に該当する活動と重複しうるものとされています(例えば、弁護士が法律事務所を経営する場合や、自らマネジメント会社を経営して芸能活動を行う場合)。
(4)高度専門職2号
 「高度専門職1号イ・ロ・ハ」に併せて、上陸許可基準が不要な就労系の全ての在留資格と「法律・会計業務」「医療」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「介護」「興行」「技能」の活動に従事することが可能となります。
  これらの在留資格に該当しない業務に従事することを希望する場合は、  「高度専門職2号」ではなく、「永住者」の在留資格をすることになります。配偶者も、「永住者の配偶者等」になれば、就労制限がなくなります。
 ただし、「永住者」の場合、親及び家事使用者の帯同はできなくなります。

2.上陸許可基準

(1)「高度専門職」の活動が、上陸許可基準を必要とする「経営・管理」「技術・人文知識・国際業務」等の在留資格に該当する場合は、当該在留資格の上陸許可基準に適合している必要があります。
(2)当該外国人の活動が日本の産業及び国民生活に与える影響等の観点から相当でないと認める場合でないこと
(3)ポイント事由
 主なポイント事由は、下記の通りです。
 (a)学歴
  最高ポイントは、「高度専門職1号イ・ロ」の場合は博士号保有者の30ポイント、「高度専門職1号ハ」の場合はMBA・MOT(経営・管理に関する専門職学位)保有者の25ポイントとなります。
  最低ポイントは、「高度専門職」全てに共通で、大学卒業者の10ポイントとなります。
  複数の分野において博士号,修士号又は専門職学位を複数有していれば5点、日本の大学又は大学院を卒業していれば10点、世界大学ランキングに基づき指定された大学等については10ポイントがそれぞれ加算されます(「高度専門職1号」全て共通)。
 (b)職歴
  最高ポイントは、「高度専門職1号イ」の場合は7年以上の実務経験で15ポイント、「高度専門職1号ロ」の場合は10年以上の実務経験で20ポイント、「高度専門職1号ハ」の場合は10年以上の実務経験で25ポイントとなります。
  最低ポイントは、「高度専門職1号イ・ロ」の場合は3年以上5年未満の実務経験で5ポイント、「高度専門職1号ハ」の場合は3年以上5年未満の実務経験で10ポイントとなります。
 (c)年収
  最高ポイントは、「高度専門職1号イ・ロ」の場合は年収1千万円以上で40ポイント、「高度専門職1号ハ」の場合は年収3千万円以上で50ポイントとなります。
  最低ポイントは、「高度専門職1号イ・ロ」の場合は年収400万円以上500万円未満で年齢が29歳以下であれば10ポイント、「高度専門職1号ハ」の場合は年収1千万円以上1千500万円未満で10ポイントとなります。
  「高度専門職1号イ」を除き、年収が300万円未満の場合は、たとえ70ポイント以上獲得しても対象外となります。
 (d)年齢(「高度専門職1号ハ」を除く)
  最高ポイントは、29歳以下で15ポイント、最低ポイントは35歳以上39歳以下で5ポイントとなります(「高度専門職1号イ・ロ」共通)。
 (e)資格
  日本語能力検定試験1級で15ポイント、2級で10ポイントとなります。

「高度専門職」の費用

サービス内容 基本報酬(税別) 備考(法定費用等)

在留資格変更、
認定証明書

13万円
(1※)

着手金6万円、成功報酬7万円
印紙代4千円(変更のみ)

在留期間更新

3万円

着手金のみ(※)
印紙代4千円

※ 雇用理由書又は追加書類の作成が必要な場合は、成功報酬1万5千円別途必要

 

法務省発表資料